「母校、都二次予選かく戦う」サッカー観戦記

平成30年度
第97回全国高等学校サッカー選手権大会
東京都大会 2次予選

 

夏の猛暑もようやく収まり、それでも、確かな秋を感じることができない。

10月14日日曜日、清瀬駅に集合した応援有志5名は颯爽とバスに乗り込み、会場へと向かった。
ほどなくして試合会場の東久留米総合高校グラウンドに到着。そこではすでに都立高校同士の熱戦が繰り広げられていた。
応援席らしいスペースはない。高く張られた緑色のネット下、狭い通路から声援を送るしかない。
この試合はなかなか決着がつかず結局、延長戦に突入。

お目当ての母校の試合は、45分ほど遅れて開始となった。
14時27分、キックオフ。相手校は私立城北。男子高らしくゴツゴツした体格の選手たち。
対する母校の選手たちはどこから見ても草食系。スラリとした体形で登場。
日曜日とあって、多くの男性OBやお揃いのシャツで応援するPTAの方々が見守る中、試合は進んでいく。
開始25分、やや小柄な相手選手が果敢なドリブルで我が陣の守りを突破しゴール。
ため息交じりだが、まだまだ前半と言い聞かせて反撃を待つ応援団。
同級生のサッカー部の練習をぼんやり眺めていたことはあったが、今回のような公式試合で選手たちの熱い息を感じながら観戦するのは初めて。わずかながら善戦の期待を持ってここに来た。
というのも在校していた、昭和47,8年頃の母校はサッカーの強豪校の一つで、都立勢で都代表になったのは、未だに野球の国立と我校のサッカー部だけと聞いていたからだ。

後半10分、試合が動く。ライン際の激しい球の奪い合いからCKを与え2点目を献上。
両選手とも疲れのせいかパス回しの制度やクリアーのボールにも力が入らない。
「まずは一点、一点返そう」とキーパーから激が飛ぶ。
全体的に選手同士の声がない静かな試合の上、パスミスしても「ごめん」とあやまる選手たち。この「やさしい」戦いにやや違和感を覚えた体育会系の人も多かったのでは。
ついに歓喜の時は後半26分。疲れの見えた相手のバックスをすり抜けたトップ下が左CKを奪い見事にゴール。待望の得点に応援席は歓声とハイタッチで応える。

残りの時間は両チームとも決め手を欠き、健闘むなしく2対1でゲームセット。
応援団の落胆の声もいつしか両校の健闘を称える拍手にかわる。
なぜかホッとした気持ちになり、勝敗の結果よりも充実感のようなものがこみ上げてきた。今回の応援メンバーそれぞれが、後輩たちのひたむきな姿に感動し、また共感し合える
機会を持つことを誓いながら、夕日の落ちる中、帰りのバス停に向かった。
頑張れ鷺高!!!

昭和50年卒 赤松弘久